ビカクシダ
Staghorn Fern / Platycerium spp.
別名・品種: ビカクシダ、コウモリラン、プラティセリウム、ビフルカツム、ネザーランド、グランデ、スーパーバム、ウィリンキー
鹿の角のような葉を広げるシダの仲間。板付けや苔玉で壁に掛けて楽しめる人気の一鉢です。水やりのコツさえつかめば意外と丈夫で、独特の姿を長く楽しめます。
- カテゴリ
- 観葉植物
- 育てやすさ
- ふつう
- 日当たり
- 明るい日陰〜レースカーテン越しの光
- 水やり
- 板や苔が乾いたらたっぷり、乾湿のメリハリを
- 耐えられる寒さ
- 5℃以上(多くの品種は10℃前後が安心)
- 大きさの目安
- 小さな株〜1m近くまで幅が広がるものも
- 原産地
- 熱帯アジア・オーストラリア・アフリカ・南米
- 出回り時期
- 通年
どんな植物か
ビカクシダは「コウモリラン」の名でもおなじみのシダの仲間です。ランと付きますが花は咲きません。株元をぐるりと覆う丸い葉(貯水葉・外套葉)と、鹿の角のように分かれて伸びる葉(胞子葉)の二種類の葉を持つのが最大の特徴です。着生植物なので土がなくても育ち、板付けや苔玉にして壁に掛けて楽しめるのが人気の理由です。
流通している品種はいくつかあります。ビフルカツム(ネザーランド)は最も丈夫で入門向き、寒さにも比較的強く育てやすいタイプです。グランデやスーパーバムは大きく育ち貯水葉が王冠のように広がる迫力系、ウィリンキーは葉が細く垂れて銀白色を帯びる優雅な姿です。品種で姿や耐寒性に差はありますが、基本の育て方はどれもほぼ共通と考えてかまいません。
置き場所
直射日光は葉が焼けやすいので避け、明るい日陰やレースカーテン越しのやわらかい光が向いています。まったくの暗がりだと胞子葉が間延びして貧弱になりがちなので、思っているより明るい場所を選んであげてください。
山陰の冬は日照時間が短く、どうしても室内の光が足りなくなります。冬場はできるだけ窓辺に寄せて、少しでも光を確保してあげると調子を保ちやすいです。ただし夜の窓辺は冷え込むので、寒い晩は窓から少し離すか、部屋の中側に移してください。多くの品種は最低10℃前後を目安にすると安心で、5℃近くまで下がる場所は避けたほうが無難です。
水やり
着生植物なので、根が乾く時間があることが大切です。板付けなら苔や板が乾いてきたタイミングで、鉢なら植え込み材の表面が乾いてから、たっぷり水を与えます。板付けの株は、バケツや洗面器に張った水に株元ごと沈めて数分吸わせる「ドボン」がやりやすい方法です。
注意したいのは、株元の丸い貯水葉です。これは枯れて茶色くなっても株を守る大事な部分なので、見た目が悪くても取り除かないでください。ここに水が常にたまっていると蒸れて傷むことがあるので、水やり後は風を通してあげるとよいです。
山陰の夏は高温多湿で蒸れやすく、水のやりすぎと風通しの悪さが重なると根や葉元が傷みがちです。逆に冬は生長がゆるやかになるので、水やりの間隔をぐっとあけて乾かし気味に管理します。「暑い時期はよく乾かしてから、寒い時期はさらに控えめに」と覚えておくと失敗が減ります。
つまずきやすいポイント
よくある相談が「胞子葉に張りがなく垂れて元気がない」というものです。原因は光不足か、根が乾かず蒸れているかのどちらかが多いです。暗い場所に長く置いていた場合は少しずつ明るい場所へ、水を頻繁にあげていた場合は思い切って乾かす時間をつくってみてください。
もうひとつが「貯水葉が茶色くなった、枯れた」という不安です。前述のとおり貯水葉は古くなると茶色くなるのが自然な性質で、その下から新しい葉が重なって育っていきます。全体が一気にぶよぶよと黒く崩れるような場合は蒸れや過湿のサインですが、外側から順に茶色くなるぶんには問題ないことがほとんどです。
葉の表面にある白い粉のようなものは「星状毛」という産毛で、乾燥や光から身を守る大切なものです。汚れと勘違いして拭き取ってしまうと弱ることがあるので、そのままにしておいてください。
増やし方と植え替え
株元から子株(芽)が出てくることがあり、大きくなったら切り分けて板付けにできます。植え替えや板付けは生長期にあたる春から初夏が向いています。水苔で株元を包み、麻ひもやテグスで板に固定してあげると、やがて根が張って安定します。
環境が合えば長く付き合える植物ですが、置き場所や水やりの感覚は住まいごとに変わります。最初のうちは様子を見ながら、その株のペースを探っていくのがうまくいくコツです。