ヤブコウジ
Marlberry / Ardisia japonica
別名・品種: 十両、ヤブコウジ、藪柑子
冬に赤い実をつける日本の常緑低木。背丈が低く日陰でも育つ丈夫さから、和洋どちらの庭でもグラウンドカバーや下草として人気です。正月の縁起物「十両」としても親しまれています。
- カテゴリ
- 庭木・花木
- 育てやすさ
- やさしい
- 日当たり
- 半日陰〜明るい日陰。真夏の直射は避ける
- 水やり
- 地植えはほぼ不要。鉢は表土が乾いたらたっぷり
- 耐えられる寒さ
- -5℃程度まで(山陰の露地で越冬可)
- 大きさの目安
- 10〜20cm程度の低木
- 原産地
- 日本・東アジア
- 出回り時期
- 1〜3月・10〜12月
気をつけたいこと
赤い実は観賞用で、たくさん食べると体質によりお腹をこわすことがあります。小さなお子さんやペットが口にしないようご注意ください。
ヤブコウジってどんな植物
ヤブコウジは日本の林の下に自生する常緑の低木で、背丈はせいぜい10〜20cmほど。地面を這うように広がりながら、冬に小さな赤い実をつけます。センリョウ(千両)やマンリョウ(万両)と同じく縁起物として数えられ、こちらは「十両」と呼ばれてお正月飾りにもよく使われます。
山陰の林床にも近い仲間が普通に見られるほど、この土地の気候に元々なじんだ植物です。派手さはありませんが、艶のある濃い緑の葉と赤い実のコントラストが渋く、和の庭はもちろん、シェードガーデンやコンテナの寄せ植えの足元にも合わせやすい存在です。
置き場所
いちばん得意なのは半日陰から明るい日陰です。木の下や建物の北〜東側など、直射日光がやわらぐ場所がよく合います。もともと林の中で暮らす植物なので、真夏にカンカン照りの場所へ植えると葉が焼けたり、色が抜けて元気がなくなることがあります。
松江あたりの気候だと、夏の高温多湿がいちばんの負担になりやすいところです。風がまったく通らない蒸れた場所は避け、少し空気が動く半日陰を選ぶと調子を保ちやすくなります。逆に冬の日照不足はそれほど心配いりません。落葉樹の下なら冬に日が差し込み、夏は葉陰になるという環境が理想的です。
鉢植えの場合も直射を避けた明るい日陰に置き、真夏だけ場所を移せるようにしておくと安心です。
水やり
地植えで根づいてしまえば、水やりはほとんど必要ありません。山陰は冬から春にかけて雨や曇りの日が多く、地面が乾ききることが少ないので、植えて最初のひと夏を越したあとは基本的に降る雨にまかせて大丈夫なことが多いです。ただし梅雨明け後に晴天が続いて土がカラカラに乾くようなら、朝か夕方にたっぷり与えてください。
鉢植えは土が乾きやすいので、表土が乾いたら鉢底から流れるくらいたっぷりと。ただしヤブコウジは過湿を嫌う面もあり、受け皿に水をためたままにすると根が傷むことがあります。特に山陰の湿った冬場は、鉢内が乾かず蒸れ気味になりやすいので、水のやりすぎには気をつけたいところです。
赤い実がつかない・少ないとき
ヤブコウジを迎える楽しみといえば冬の赤い実ですが、「なかなか実がつかない」という声は少なくありません。いくつか理由が考えられます。まず、実つきには初夏に咲く小さな花がきちんと咲くことが前提です。日照が極端に足りない深い日陰だと花数が減り、結果として実も少なくなりがちです。少しだけ明るい場所へ移すと改善することがあります。
また、株がまだ若い・植え替え直後で消耗しているといった場合も、実より根の充実を優先して花が控えめになることがあります。焦らず一年ほど落ち着かせてみてください。それでも毎年たくさんの実がなるとは限らず、気候や年ごとの差もあります。実つきはおまけくらいの気持ちで、葉姿そのものを楽しむのがこの植物とのつきあい方だと思います。
夏越しと蒸れ対策
山陰でヤブコウジを育てるうえで、いちばんつまずきやすいのが夏の蒸れです。梅雨から真夏にかけて、地際が密に混み合っていると風が通らず、葉が黒ずんだり傷んだりすることがあります。込み合ってきたら、地際の古い葉や枯れ込んだ茎を軽く整理して、株の中に空気が抜けるようにしてあげると調子がよくなります。
寒さには強く、松江の露地でもふつうに冬を越します。冬に葉がやや赤みを帯びることがありますが、これは寒さによる自然な変化で、春になればまた濃い緑に戻っていくことが多いです。
品種の違いについて
ヤブコウジには斑入りの選抜品種もあり、白やクリーム色の覆輪が入るものは明るい印象で、和にも洋にも合わせやすいと人気です。斑入り品種は葉緑素が少ないぶん、青葉のものよりやや強い日差しや乾燥に弱い傾向があり、より穏やかな半日陰を好みます。育て方の基本はどれも共通なので、置き場所と水やりを押さえておけば、品種による大きな違いに神経質になる必要はありません。葉色や斑の入り方で好みのものを選んでみてください。