ハーブ育てやすさ: ふつう

ディル

Dill / Anethum graveolens

別名・品種: イノンド、ソイ、蒔蘿

羽根のように細く切れ込んだ葉と、さわやかな香りが魅力のセリ科ハーブ。魚料理やピクルスと相性がよく、家庭でも育てやすい一年草です。

カテゴリ
ハーブ
育てやすさ
ふつう
日当たり
日当たりと風通しのよい屋外
水やり
表土が乾いたらたっぷり。過湿を嫌う
耐えられる寒さ
0℃前後まで(強い霜には弱い)
大きさの目安
高さ60〜100cm程度
原産地
地中海沿岸〜西アジア
出回り時期
3〜5月・9〜10月

ディルってどんなハーブ?

ディルは地中海沿岸を原産とするセリ科の一年草で、糸のように細かく切れ込んだ葉と、さわやかで少し甘みのある香りが特徴です。サーモンなどの魚料理、ピクルス、サラダやスープの香りづけによく使われます。花が咲くと黄色い小さな花が傘状に集まり、そのまま種を採ってスパイス(ディルシード)としても使えます。

コリアンダーやフェンネルと同じセリ科の仲間で、直根性といって根がまっすぐ深く伸びる性質があります。この性質は、あとで育て方に関わってくる大事なポイントです。

置き場所

日当たりと風通しのよい屋外が基本です。半日以上しっかり陽が当たる場所だと、香りも立ちやすく、がっしり育ちます。日照が足りないとひょろひょろと徒長して倒れやすくなります。

山陰の冬は日照が少なく、どんよりした曇天が続きます。ディルは本来、涼しい季節を好むハーブですが、松江のように冬の日射が弱く湿度が高い地域では、屋外の冬越しは正直むずかしいことが多いです。そのため、春まきで暖かい季節に育て切ってしまうか、秋まきなら軒下など雨と霜を避けられる場所に置く工夫が要ります。

夏は逆に高温多湿が苦手で、真夏になると弱ったり花が咲いて一気に終わってしまうことがあります。梅雨時から夏にかけては風通しを最優先に、鉢を地面から少し浮かせて蒸れを防ぐと長持ちします。

水やり

表土が乾いたらたっぷり与える、が基本です。ディルは乾燥にはある程度耐えますが、過湿には弱く、根が常に湿っていると傷んでしゃきっとしなくなります。特に山陰の梅雨や秋の長雨の時期は、鉢が水を含みっぱなしにならないよう、水はけのよい土を使い、受け皿に溜まった水はこまめに捨ててください。

地植えの場合は、いったん根付けばほとんど水やりは要りませんが、鉢植えは乾きやすいので夏場は朝の水やりを忘れないようにします。

植え替えを嫌う――種まきのコツ

ディルでいちばんつまずきやすいのが、この直根性です。根がまっすぐ深く伸びるため、移植を極端に嫌います。ポット苗を買ってきて植え替えるときも、根をできるだけ崩さないようにそっと扱ってください。根鉢を大きく崩すと、そのまま生育が止まったり枯れてしまうことがあります。

おすすめは、育てたい場所や鉢に直接種をまく「直まき」です。発芽適温は15〜20℃くらいなので、松江では春(4〜5月)か秋(9〜10月)が種まきの目安になります。深い鉢や地植えを選ぶと、根が伸びやすくのびのび育ちます。浅い鉢だと途中で頭打ちになりやすいので、できれば深さのある容器を選んでください。

早く花が咲いてしまう(とう立ち)

もうひとつ多い悩みが、葉をたくさん収穫する前に花茎が伸びて花が咲いてしまう「とう立ち」です。ディルは日が長くなる時期や、暑さ・乾燥のストレスがかかると花を急ぐ性質があります。とう立ちすると葉が硬くなり、香りも葉のものとは変わってきます。

葉を長く楽しみたいなら、涼しいうちにこまめに先端を摘んで使うのがコツです。摘むことでわき芽が出て、株がこんもりします。ただ、花が咲いても悪いことばかりではなく、花や未熟な種も料理やピクルスに使えますし、種を採ればまた翌年まけます。無理に咲かせないようにするより、季節の移り変わりとして楽しむのもおすすめです。

品種の違いについて

ディルには、一般的な標準種のほか、草丈が低めでコンパクトにまとまり鉢植えやベランダ向きの矮性タイプ(「フェルンリーフ」など)も流通しています。基本的な性質や育て方はどれもほぼ同じで、香りや使い方に大きな差はありません。ベランダや小さな鉢で育てるなら草丈の低いタイプ、地植えでたっぷり収穫したいなら標準種、といった選び方でよいでしょう。フェンネルと見た目や香りが似ていますが別の植物で、近くに植えると交雑することがあるので、種を採りたいときは少し離して育てると安心です。

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