パンジー・ビオラの育て方は「苗選び」と「切り戻し」で春まで咲く
「秋にきれいなパンジーを買ったのに、年明けにはひょろひょろで花もまばら…」。そんな声を売り場でよくいただきます。実はパンジーとビオラが春まで咲き続けるかどうかは、育てる技術よりも「最初の苗選び」と「途中の切り戻し」で大きく変わります。この記事では品種の話はいったん置いて、この二つに絞ってお伝えします。読み終えるころには、店頭でどの苗に手を伸ばせばいいか、いつハサミを入れればいいかがはっきりするはずです。
そもそも、なぜ「苗選び」と「切り戻し」なのか
パンジー・ビオラは、本来なら秋から翌春の初夏近くまで、半年以上咲き続けてくれる息の長い花です。それなのに途中で寂しくなってしまうのは、多くの場合、育て方の失敗というより「スタートの苗にすでに無理があった」か「途中で株を整える一手間を抜いた」かのどちらかです。
水やりや置き場所ももちろん大事ですが、そこは日当たりのよい場所に置き、土の表面が乾いたらたっぷり与える、という基本を押さえればまず大きく外しません。それよりも、シーズン全体の見栄えを左右するのが苗選びと切り戻しです。まずは選ぶところから見ていきましょう。
徒長していない苗を見分ける
売り場に並んだ苗を上から眺めると、どれも花が咲いていて同じように見えるかもしれません。でも横から見ると差がはっきりします。
チェックしたいのは、まず「背の低さ」です。茎がぐんと伸びて、葉と葉のあいだが間延びしている苗は徒長しています。徒長した苗は見た目こそ大きく立派に見えますが、日照や肥料のバランスが崩れた環境で急いで育った証拠で、植え替えても間延びした姿を引きずりやすく、寒さにも弱い傾向があります。
逆に選びたいのは、株元が詰まっていて、こんもりと横に広がった苗です。葉と葉の間隔が短く、株全体がずんぐりして見えるものほど、しっかり日に当たって育っています。花はたくさん咲いているものより、つぼみが多めのものを選ぶと、植えてからの楽しみが長く続きます。満開の苗はきれいですが、すでに花のピークを使ってしまっていることもあるからです。
葉の色つやも見てください。濃すぎず薄すぎず、黄ばんだ下葉が目立たないものが元気な状態です。
根の張りを確かめる
見た目の次に確認したいのが根です。ポットの底穴をのぞいて、白い根が少し見えているくらいがちょうどよい張り具合です。まったく根が見えないものは育ちがまだ浅く、逆に根が穴からぐるぐるとあふれ出しているものは「根詰まり」の状態で、鉢の中で根が回りきってしまっています。
根詰まりの苗は、植え替えても根が新しい土になじみにくく、その後の生育が鈍ることがあります。可能であればポットをそっと持ち上げて、株がぐらつかないかも見てみてください。しっかり根が張っていれば、株を軽くつまんでも土ごと安定しています。
もちろん、店頭で根をいじりすぎるのはよくないので、底穴からの様子と株の安定感で判断すれば十分です。ここが通販の写真だけでは分かりにくいところで、実物を横から見て、底をのぞいて選べるのが売り場の強みでもあります。
植えた後は「切り戻し」で株を作り直す
よい苗を選んで植えても、冬を越すうちに株の中心から茎が伸び、花がまばらになって寂しくなってくることがあります。これは失敗ではなく、パンジー・ビオラのごく自然な変化です。ここで登場するのが切り戻しです。
切り戻しとは、伸びすぎた茎を思い切って短く切り、株の姿をコンパクトに整える作業です。切ると一時的に花が減って心配になりますが、そのぶん株元から新しい芽がわき、こんもりと復活してまた花数が増えていきます。何もしないと間延びした姿のまま春を迎えてしまうので、途中で手を入れてあげるほど長く楽しめます。
切る位置は、株全体の高さの半分から三分の一ほどを目安に、脇芽の少し上でカットします。丸ハサミや清潔なはさみでスパッと切ってあげてください。
切り戻しの時期と、うまくいかないとき
切り戻しに適したタイミングは、株が間延びして中心が寂しくなってきたと感じたときです。目安としては、真冬の一番寒い時期は生育が止まって回復が遅いので避け、寒さが少しゆるむ晩冬から早春にかけてが一つの区切りになります。この時期に一度整えておくと、暖かくなる春に向けてボリュームのある株に育ちやすくなります。
ただし、正直にお伝えすると、切り戻しをしても必ず元通りに復活するとは限りません。もともと根詰まりや徒長を抱えた苗だったり、極端な寒波にあたって株が弱っていたりすると、思うように芽が吹かないこともあります。切ったあとは日当たりのよい場所に置き、薄めの液体肥料を控えめに補うと立ち直りを助けやすくなります。切っても二週間ほど動きがないときは、そのまま様子を見て、暖かくなるのを待つのが無難です。
どのくらい切っていいか、この苗はいま切ってよい状態か。迷ったときは、実物を持ち込んで相談していただくのが一番はやいです。松江のdecolleでは店頭で植物のご相談にも乗っていますので、育て方に迷ったら気軽にお声がけください。店舗の場所や営業時間はアクセスのご案内からご確認いただけます。
苗選びで無理のないスタートを切り、途中で一度株を整える。この二つを押さえておけば、秋に迎えたパンジー・ビオラと春まで長くつきあえるはずです。