暮らしの道具

木の器の手入れは「やってはいけないこと」から。長く使うコツ

木のお皿やスプーンを買ってみたものの、「これ、どうやって洗えばいいんだろう」「なんだか色がくすんできた気がする」と、扱いに迷っていませんか。プラスチックや陶器と同じ感覚で使うと、木は思ったより早く傷んでしまいます。この記事では、まず「やってはいけないこと」を先にお伝えし、そのうえで日々の洗い方とオイルの塗り方まで、無理なく続けられる手入れの順番でご案内します。

まず「やってはいけないこと」を3つ覚える

細かいテクニックより先に、これだけは避けたいというNGを知っておくと、木の器はぐっと長持ちします。逆に言えば、この3つさえ守れば、あとは多少ざっくりでも大きく傷めることはありません。

覚えてほしいのは次の3つです。

  • 水やお湯に長く浸け置きしない
  • 食洗機に入れない
  • 直射日光に当てて乾かさない

どれも「よかれと思って」やってしまいがちなものばかりです。なぜダメなのか、順番に見ていきましょう。

浸け置きが木を傷める理由

食後のお皿を、そのまま水を張ったシンクにつけておく。陶器なら当たり前の習慣ですが、木の器にとってはいちばん避けたい扱いです。

木は水を吸います。長時間水に浸かると内部まで水分が入り込み、乾くときに縮む。この膨張と収縮を繰り返すうちに、表面がガサついたり、ひどいときには反りやひび割れにつながります。塗装された器でも、木口(切り口の部分)や継ぎ目から水が入ることがあります。

洗うときは「使ったらすぐ、さっと洗う」が基本です。ぬるま湯とやわらかいスポンジ、食器用洗剤を少量。ゴシゴシこすらず、汚れを浮かせて流す感覚で十分です。油汚れが気になるときも、熱すぎないお湯を使ってください。熱湯は木を傷めたり、塗装を白くくもらせる原因になります。

カレーやミートソースなど色の濃いもの、油の多いものを盛ったあとは、放置せず早めに洗うと色移りやにおい残りを防げます。「浸けて後で」ではなく「先にさっと」。この順番を入れ替えるだけで、木の器の寿命はかなり変わります。

食洗機・電子レンジ・直射日光を避ける

食洗機は、木の器にとって浸け置き以上に過酷です。高温のお湯に長時間さらされ、強い洗剤にも触れ、最後は熱風で一気に乾かされる。膨張と急激な乾燥が一度に起きるので、割れや塗装剥がれの大きな原因になります。「食洗機対応」と明記されたものを除き、基本は手洗いと考えてください。

電子レンジも同じく避けます。木は熱を持ちやすく、部分的に高温になって変形したり、焦げることがあります。

乾かし方も意外な落とし穴です。「よく乾かそう」と窓辺や屋外の直射日光に当てるのは逆効果。急激に乾くと木が反ったり割れたりしやすく、色あせの原因にもなります。ストーブやエアコンの温風が直接当たる場所も同じです。

正しい乾かし方はシンプルで、洗ったあとに布巾で水気をしっかり拭き取り、風通しのよい日陰で自然乾燥。伏せたままにせず、立てかけて全体に空気が当たるようにすると、乾きムラやにおいのこもりを防げます。乾いてから食器棚にしまえば安心です。

くすみ・カサつきが出てきたときの見分け方

しばらく使っていると、「買ったときより白っぽくカサついてきた」「なんとなくくすんで見える」ということがあります。これは多くの場合、劣化ではなく、表面の油分が抜けてきたサインです。

見分け方の目安として、水をはじかなくなってきた、手触りが乾いてザラつく、色が全体に薄く白っぽくなってきた——こうした状態なら、後述のオイルで手入れをすると生き返ります。

一方で、黒い点々(黒ずみ)が出てきた場合はカビの可能性があります。これは油分不足とは別の問題で、浸け置きや乾燥不足が続いたときに起きやすいものです。軽いものなら乾拭きや紙やすりで削れることもありますが、広がっている場合は無理に使い続けないほうが安心です。においが取れない、奥まで黒いといったときは、残念ですが寿命と考えたほうがよいこともあります。ここは正直にお伝えしておきます。

ちなみに、器によっては表面がウレタンなどでしっかり塗装されていて、オイルの手入れが不要なタイプもあります。この場合は油を塗っても染み込まず、ベタつくだけです。自分の器がどちらか分からないときは、購入時の表示を確認するか、水のはじき方で見当をつけるとよいでしょう。

仕上げのオイルは「薄く、たまに」で十分

最後に、カサつきが出てきたとき(オイル仕上げの器の場合)の手入れです。難しく考えず、頻度は「気になったときだけ」で構いません。

  1. きれいに洗って、完全に乾かす
  2. 食用のオイル、または木製食器用のオイルを少量、布やキッチンペーパーに取る
  3. 木目に沿って全体に薄くのばす
  4. 5〜10分ほど置いてなじませ、余分な油を乾いた布でしっかり拭き取る
  5. 半日〜1日、風通しのよい日陰で乾かす

ポイントは「薄く塗って、余りは拭き取る」こと。厚く塗るとベタついたり、酸化してにおいの原因になります。オイルは、くるみ油やえごま油など乾きやすい植物油が使いやすいですが、香りやアレルギーが気になる方は専用オイルが無難です。

この手入れは月に一度でも、季節の変わり目に思い出したときでも十分。頑張りすぎず、乾いてきたら塗る、くらいの気持ちで長く付き合ってください。

木の器は、扱いに少しコツがいるぶん、使い込むほど色や艶が育っていく道具です。とはいえ、実物の手触りや塗装の種類は、写真だけでは分かりにくいもの。decolleでは実際に手に取って質感を確かめたり、手入れの相性をスタッフに相談しながら選べます。気になる方は暮らしの雑貨の取扱いものぞいてみてください。まずは今日から、浸け置きをやめる。その一歩だけで、お気に入りの器はぐっと長持ちします。

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